冷酷な騎士団長が手放してくれません
ハイデル公国と戦争を始めたロイセン王国内は、物々しい空気に包まれていた。それは、辺境地であるリルべも例外ではなかった。


戦争に出向いていたアンザム卿配下にある騎士団が一時帰郷した際、ソフィアは戦争の悲惨さを思い知ることになる。


腕に怪我を負い、血の滲んだ包帯を巻いている者。疲れ果てた顔で、足を引き摺っている者。戦場での度重なる爆発音にパニックを引き起こし、焦点の合わない瞳でブツブツと何かを呟き続けている者。そして、命を落とした者。





戦争など本の中の出来事のように感じていた。だが、すすり泣く騎士の家族や痛みに苦しみ呻く者を見て、真の戦争の姿がソフィアの身に迫る。


それは、美しさからは遠くかけ離れた世界だった。血生臭くて、残忍で、どこもかしこも哀しみに満ちている。


遠く大砲の音が聴こえるたび、ソフィアは怯える日々を過ごした。



そしてソフィアがリルべに戻って半月が過ぎた、初冬の昼下がり。戻ってから初めてリアムに湖畔に誘われたソフィアは、リアムの口から絶望的な言葉を浴びせられる。
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