恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
階下のリビングに行くと、ソファに座っていた母がニコッと微笑んでくれた。
あたりには淹れたてのコーヒーの芳醇な香りが広がっている。
母は私がここに来る時を見越していたのかと、湯気が立つカップを見ながら思いながら、ソファに座った。

面接のことを知りたがっている母は、話をちゃんと聞くまで寝ないし、私も寝かせてもらえないだろう・・・。

「・・ね?湖都ちゃん。岸川さんって良い人でしょ」
「え?あぁ・・うん、そうだね。人当たりが良くて、優しい感じで」
「実際優しい人よ」と力説する母に、私は苦笑を浮かべた。

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