恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「だが事件は起こった」
「えっ、事件?」
「ああ。俺が考えた新しいマンションの構造案から設計図に至るまで、全てを、当時つき合ってた――と、俺は思っていた――彼女に盗まれた」
「ええっ!?」

驚いた私は、思わず両目を見開いた。

「彼女は、俺が考えた原案や設計図を“本当につき合っていた彼”に渡すために俺に近づいたんだ。俺はその彼女のことを恋人だと思ってつき合ってたんだが・・相手は“つもり”どころかその気もなかったってことだな。しかもさ、その彼女のホントの彼っていうのが、会社の先輩設計士――その人は結婚してたから、彼らは隠れてつき合ってた――だったから・・」
「なんてひどい!岸川さんっ、会社やその先輩に抗議しなかったの?」
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