溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
「なぁ、君嶋にそんなことするなら、いつもおまえの世話をしてやってる俺にもなんか見返りがあってもいいんじゃないかぁ?」

にたにた笑っている石川さんが怖い。
いまにもこの場に押し倒されそうな気さえして、知らず知らず半歩、後ろに下がっていた。

「まぁ、俺は君嶋ほど趣味が悪くないから、おまえみたいな根暗女、興味ないけどなぁ」

ふーっ、顔を近づけて吐き出された煙に顔を背ける。
心臓はばくばくと早く鼓動し、吸い込んだ煙のせいかあたまがくらくらした。

「誰かに知られたら君嶋もおまえも困るよなぁ。
なら、どうしたらいいのかわかるよなぁ?」

「……はい」

満足げに頷くと、石川さんは私から顔を離した。
嵐はただ、通り過ぎるのを待つしかない。
いままでも、これからも。


デスクに戻ると、ちらりと蔵人さんの視線が向いた。
でも、なんでもない顔をして仕事を再開する。
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