溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
食後のコーヒーを飲みながら蔵人さんに聞いてくる。
いつか、気づかれるとは思っていたが、永遠に気づいて欲しくなかった。
蔵人さんはいつも通りの無表情だが、責められてると思うのは私の後ろめたさのせいだろうか。

「ちょっと読みたい本があって。
コーヒーショップだと集中して読めるので。
その、遅くなってごめんなさい」

ちゃんとそれらしい言い訳になっているだろうか。
蔵人さんに嘘だと気づかれてないだろうか。
緊張は私の心臓の鼓動を早くし、口の中をからからに乾かす。

「別に責めるつもりはない。
和奏にだってひとりでやりたいことだってあるだろうし」

蔵人さんは私の言葉を全く疑ってないようで、ほっと心の中でため息をついた。

「あまり遅くなるときは連絡しろ。
心配になる」

「はい」

くいっと眼鏡をあげた蔵人さんに、胸に手を突っ込まれてバリバリと引き裂かれたかのように強い痛みが走った。
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