溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
ATMから吐き出される明細を見るとため息が出る。
それでなくてもほとんどなかった私の貯蓄は、度重なる洋の要求にあっという間に底をついた。
あとは緊急時はここから出すようにと蔵人さんが置いてくれてる通帳から下ろすしかないのだが、それは気が引ける。

「パチンコでボロ負けした」

いつものコーヒーショップで待っていた洋は酷く不機嫌で、どんどん肩は狭まっていく。

「女に声かけたら警官に職質されるし。
ほんと、ついてねー」

長くもない足を私の方へ投げ出し椅子の背もたれに横柄に背中を預けると、洋は今日も酒臭い息を吐いた。

「だいたい、こんなに才能があるオレが、世間から注目されないのが間違ってるんだ」

相変わらずな洋に辟易した。

同棲していた頃から、もうすぐメジャーデビューして世界ツアーだって夢じゃないとか洋は言っていた。
けれど洋が楽器を弾いているところなど見たことない。
それに無理矢理連れて行かれたカラオケで歌う洋は、音楽のことなどまるでわからない私が聞いても下手だった。
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