溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
蔵人さんは家でも表情筋の死んだ無表情だったけど、いっぱい、いっぱい私を可愛がってくれた。
おかげでちょっと自信がついたし、男の人とも比較的普通に話せるようになった。
それにごくたまに見せる蔵人さんの笑顔は極上で、大好きだ。

でもきっと、もう全部終わりなのだろう。
洋があのまま引き下がるとは思えない。

「蔵人さん……」

そっと呼びかけてみたけど、蔵人さんは目を覚まさない。
眠りの深い蔵人さんが朝になる前に起きるなんて稀だ。

「蔵人さん……」

ぽたぽた落ちてくる雫に慌てて顔を拭う。
明日の朝、泣き腫らした顔なんて見せられないとわかっていながら、涙はいつまでたっても止まらなかった。



翌日、明るく振る舞ってみせながらも、生きた心地がしなかった。

――そして、午後。

「久保さん、ちょっと」
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