溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
「あいつ酔うと、誰彼かまわず抱きついてくるんだ。
昔馴染みってことでホテルに送るのは俺の役目だし。
昨日は携帯人質に取られてマッサージまでさせられたうえに、返さないまま寝落ちしてくれたからな。
勘弁してくれ」

忌ま忌ましげに蔵人さんが吐き捨てる。
もしかして、いままで私が考えてたことって全部勘違い?
小雪が言ってたのも全部勝手に言ってただけで。

「ほかには?」

「小雪からやり直したいから返してくれって言われました。
蔵人さんもまだ自分に気があるんだろうって」

「莫迦正直にそれを信じたのか?」

はっ、吐き捨てるように笑う蔵人さんに、背中がぴくんと揺れてしまう。

「和奏をからかっているだけだろ。
あいつはそういうところがあるんだ。
……それに」

すーっと蔵人さんの目が細くなる。
その視線はふれるだけで切れてしまいそうな剃刀のようで、背筋が一気に寒くなった。
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