溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
私がさっさと歩き出すと、小雪も慌てて追ってきた。


着いたお店は私にとってお昼でも敷居が高い料亭だった。
やっぱり、領収書はもらっておこう。

部屋に案内されてふたりっきりになると、小雪が口を開いた。

「フリーの最終日、お昼誘いに行ったらいないんだもの。
逃げたのかと思ったわ」

「ちょっと、用があって」

まさか、夜遅く帰ってきた蔵人さんに初めて抱かれて、つい寝過ごしたなんて言えない。

――いや、この場合は言った方がいいのか。

蔵人さんが注文もしてくれていたので、すぐに料理が運ばれてくる。
お昼から懐石のコースは贅沢だ。
こんな状況じゃなきゃ楽しめたのに、惜しい。

「しかも髪、そんなに短く切っちゃって。
失恋が決定したから?」

小雪は愉しそうににやにやと笑っているが、蔵人さんと愛を確かめたいまの私は余裕だ。
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