溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
珍しく怒った私に気圧されたのか、蔵人さんは一応、承知してくれた。


壁に掛かった時計を見ながら、ちらちらと蔵人さんに視線を向けてしまう。

時刻はすでに四時。

諸々考えてそろそろ出ないと小雪の飛行機の見送りには間に合わない。

……行かないつもりなのかなー。
行かなかったら、行かなかったら……そうだ。
しばらく蔵人さんの嫌いな、ピーマンづくしのおかずにしよう。

いい考えだとかひとりで思ってたら、いきなりがたりと蔵人さんが立ち上がった。

「ちょっと急用ができたので夕方まで出てくる。
悪いが、残りの書類は帰ってからやってしまうから。
じゃあ」

表情筋の死んだ無表情の蔵人さんになにか言える人などいない。
上司の北条部長ですら。
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