溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
「あ、ああ……」

誰にも引き留められず、蔵人さんが去っていってほっと心の中でため息をつく。

……せっかく気を遣ってあげたんだから、ちゃんと話してよね。

小雪と蔵人さんがこれでまたどうにかなるなどと全く考えなかったわけじゃない。

でも私は蔵人さんを信じてる。

それに小雪も未練たらしいことはしないで、きっちり自分の気持ちにけりをつけるのだろうと確信していた。


就業時間を過ぎて蔵人さんは戻ってきた。
でも忙しいのはわかっていたから、声はかけずにおいた。


「ただいま」

深夜に近い時間になって、蔵人さんはようやく帰ってきた。

「おかえりなさい」

私にキスする蔵人さんからは今日、小雪のにおいはしない。
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