溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
正確には私ではなく、君嶋課長への視線。
こんなイケメンがいれば、誰だって視線を奪われるだろう。
確かに、君嶋課長は格好いい。
――あの性格を知らなければ。

視線は君嶋課長を堪能すると、一緒にいる私へと向かう。
それはすぐに失望か嘲笑するものに変わるのがわかった。
一緒に並ぶだけでも釣り合わないとわかっているだけに、さらに私を惨めにさせる。

せっかくおいしいものを食べてご機嫌になっていたのに、気分はだんだん沈んでいく。
少しずつ口に運ぶ手は遅くなっていった。

「どうかしたのか」

「なんでもない、です」

笑って誤魔化してみせながら、心の中でははぁっと小さくため息をついた。

……君嶋課長は気にならないのかな。

こんな自分と釣り合わない女を連れ歩いてなんとも思わないのだろうか。
それとも、心の中では罵ってる?
気にはなるけどいつも通り、表情筋が死んでいるような顔からは感情が窺えなかった。
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