天使は金の瞳で毒を盛る
私はこの家を取り仕切ってくれている嶋さんを探し出すと、一緒に来てもらった。

面食らう榛瑠に構わず、嶋さんは用意した体温計で熱を測る。

「ダメですね、部屋を用意しますから、寝てきなさい。」

体温計は38度以上の数値を出している。絶対、熱いと思ったもん。

「大丈夫ですよ、嶋さん。」

榛瑠は言うも、嶋さんには逆らえない。なにせ、私が生まれる前からこの家にいてくれた男性だ。

父というより、少し祖父的な感じでずっと見守ってくれて、でも、ある意味、お父様より怖くて逆らえない人だ。

「本当に大丈夫なんですけど。」

榛瑠が嶋さんの隣を歩きながらまだ抵抗していた。

「君も十代の時はそれでよかったでしょうけどね。いつまでもそうはいかないよ。隠せなかった以上諦めなさい。」

榛瑠は昔この家にいた時、具合が悪くても、絶対言わなかった。

「なんだか、いっきに歳をとった気がします」

そう言いながら、用意された部屋のベットに腰掛ける。

嶋さんが、飲み物やら用意するために部屋を出て行く。私も出て行く前に一言、言っておく。なるべく目は合わせないようにして。

「いい、絶対、大人しく寝てるのよ?仕事とかしないのよ?」

「はいはい、わかりましたよ、お嬢様。大人しく寝てます。」

榛瑠はなんだかちょっと楽しそうだ。

「そういえば、ご存知でしたか?あなたの元婚約者、ご結婚なさったんですよ」

「はい?」

「某大手企業の社長令嬢と。私も社長から聞いたのですが。」

「あ、そうなんだ。お父様はなにも…知らなかったわ」

別に知りたくもないし。とう言うより、はじめ誰のことかと思った。16歳の時破談した人ね。
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