天使は金の瞳で毒を盛る
「気にならないんですか」

「いや、別に…」

むしろ、全く関心が持てない自分に驚く。ちょっと薄情かしら。あの時は確かに傷ついたのに。まあ、どうせなら幸せになって欲しいとは思うけど。

「それならいいんです。つまらない話でしたね、すみません」

「いいけど、それよりもちゃんと寝るのよ、確認に来るから、寝てないとばれちゃうんだからね」

そう言い置いて、部屋を出た。なんか他にも言いたいことがある気もするけどまあいいや。

なんにしろ、病人には優しくしなくちゃ、うん。

小一時間もたった頃、部屋を覗きに行った。

部屋に入ってそっと覗き込むと、本当にちゃんと眠っていた。

よかった。少しは良くなるといいのだけれど。ムリしすぎなのよ、まったく。

榛瑠は定期的に寝息をたてていて、苦しそうな様子はない。

よかった。

なんだかこんなに近くで顔見るの久しぶり、というか、普通ないよね。

ちょっと後ろめたいと言うか、恥ずかしいんだけど、つい、見ちゃう。

相変わらず綺麗な顔立ちしてるなあ。

汗をだいぶかいてる。えっと、タオル…

私はベット脇のサイドテールに用意されていたタオルでそっと顔をふいた。

できれば起こしたくない。

「あれ」

ピアスの穴がある、って、三つある?気づかなかった。してるの見たことないし。

「いくつあけてるのよ」

ボソっと言ってみる。多分、日本戻った時に、つけるのやめたんだろうなあ。

…向こうでどんな生活をしていたのだろう。私の全く知らない時間。それが、普通は当たり前だ。


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