天使は金の瞳で毒を盛る
初めて会ったとき、あなたは8歳で、いかにも取り急ぎ揃えたというような、子供用のスーツを着せられて、私の前に立っていた。

それまで見たことのないくらい綺麗な子だった。男の子なのか女の子なのかもすぐには分からなかった。

だから、私は思った。お空へ行かれたお母様が代わりに遣わしてくださった天使様に違いないって。

…全然違ったけどね。ほんっとに違ったけどね。

すぐに家出騒ぎ起こして大変だったみたいだし。私はあんまり覚えて無いけど。

そっか、当時も家出したっけ。じゃあ、この前は2回目だわ。きっと次もあるに違いないわよ。

そんな人、側にいらない。

…熱、下がったのかしら。

手を彼の額にあてる。少しは落ち着いた気がする。

そして気づいたら、榛瑠の額にキスしていた。

何してる、私!

「え、きゃっ」

慌てた弾みでバランス崩して、床にしりもちをついた。あー、いい加減にしなさいよ、一花。

「う…」

声がした。起こしちゃったじゃない!もう、私のバカ!

「お嬢様?」

榛瑠が半身を起こした。

「ごめんね、様子見に来ただけなの。まだ寝てて。」

「いや、大丈夫、だいぶ気分いいですし。汗かいたみたいで気持ち悪いですけど。嶋さんがそこに着替えを用意していってくれたんですが」

「あ、これ」

サイドテーブルにあった白い新しいTシャツを渡す。

「ありがとうございます」

そう言って榛瑠は受け取ると、その場で着ているTシャツを脱ぎ始めた。

なんで、人がいる前で平気で脱ぐのよ!信じられない。私は慌てて違う方を向く。

「着替えた服、洗ってもらっておくわ。あなたはもう少し休んで」

私は目をそらしながら言った。
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