突然現れた御曹司は婚約者
「蓮は虫垂炎なんですって。炎症がひどいらしくてすぐに手術が必要な状況だから家族の同意が必要だったの。でもそれも今、主人が対応してくれてる。これから手術が始まるけど、それもきっと大丈夫よ」
「虫垂炎…?」


たしかにここに運ばれる前にはお腹の痛みを訴えていたけど、朝起きたときは胃が痛いって言っていた。

それに駅前の病院では胃疲れだって。


「まさか誤診、ですか?」


だとしたらそんな病院を紹介してしまった私に責任がある。

お母さんから体を離し、頭を下げる。


「すみません」
「なに謝ってるの。頭を上げてちょうだい。栞ちゃんのせいじゃないから。私のせいなんだから」


お母さんの言葉が一転して暗くなった。

視線も足元の方へ落ちている。

それでも丁寧に話してくれた。


「蓮ね、一昨日、胃が痛いって言ってたの。でも私はそんなの疲れのせいよ、って言って胃薬渡したの。そしたら翌日には楽になってて、『ほら、お母さんの言う通りでしょ』って言ったのよ。でもその痛みは関連痛だったの」
「関連痛?」

初めて耳にする用語に首をかしげるとお母さんが詳しく教えてくれた。


「栞ちゃんから連絡もらってすぐにこの病院に電話して先生に教えてもらったの。『胃の痛みは虫垂炎からの関連痛だったんです。痛みの本来の原因とは違う場所に痛みが発生したんです』って。しかも蓮の虫垂は多くの人の位置とは違う位置にあるらしくてね。他院では気付くのが難しかったんだろう、とも言ってたわ」
「そうだったんですか」


お母さんの説明を聞いて納得はいった。

でも私は…

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