【BL】貴方を好きになっていいですか?
家族皆が、ソワソワしながら直貴の帰りを待っていた、その時だった。
………プルルルルッ
家の電話が鳴った。
「きっと直貴だ!」
と言い、お父さんが受話器を取った。
「もしもし、直貴か?こんな時間まで何やって――」
お父さんはそこまで言って、言葉を切った。
僕とお母さんは顔を見合せ、お父さんの方を見る。
お父さんは、少し青ざめながら、
「………直貴…が?」
と言い、その後は「はい」「はい」とだけしか言わなかった。
受話器を置いて、その場に立ち尽くすお父さんに、お母さんが心配そうに声を掛けた。
「…誰から?直貴はどうなったのですか?」
お父さんは涙目になりつつ、静かに言った。
「……直貴は、家の近くの交差点で、信号無視の車に跳ねられて、今病院に搬送されたって…」
「……っ!」
「…なんですって!?」