獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
数日を過ぎた頃から、アメリは毎日のようにリエーヌに行くようになった。
ミハエル老人の工房でガラス作りを手伝いたくて、居ても立ってもいられなくなったからだ。
侍女伝いにカイルに申し出れば、ヴァンを片時も離さず従えるならよいという許可が下りた。
アメリがヴァンを連れて町に姿を現せば、先日の一件のことで辺りは大騒ぎになった。
「アメリ、驚いたよ。あのフィリックス様の正体が王太子で、王太子に扮して悪事を働いていたのがドーソン男爵だったんだってね。そしてあんたは、王太子の婚約者だっていうじゃないかい。普通の町娘みたいな身なりをしているから、全く気づかなかったよ!」
エイダンは矢継ぎ早に言葉を捲し立てると、アメリをきつく抱きしめた。
町の人々も、口々にカイルのことを噂した。
「いやあ、ほんと驚いたなあ。あの王太子が、身分を偽って我々のことを援助してくれていたんだから。悪獅子などと悪口を叩いていたことを、本当に反省したよ」
「アメリさんを助けに行く時のあの方のお姿がすごくかっこ良くて、町の娘たちはすっかりカイル王太子の虜なのよ」
ガラス工房でも、アメリはミハエル老人に盛大に出迎えられる。
「カイル王太子には、いつかお礼を言いたいよ。あの方は、幾度もこの老いぼれに救いの手を差し伸べてくださったのだから」
国民の、この国の王太子に対する印象は百八十度変わっていた。
カイルの本性が皆に知れ渡り、アメリは嬉しくて仕方がなかった。
城からリエーヌに通うようになったその日から、アメリはさっそくミハエル老人のガラス作りの手伝いを再開する。
鋳型に流し込んだガラス液を平らにしたり、染料を調合したり、シルビエ大聖堂のステンドグラスを全て張り替えるまで、仕事は山ほど残っていた。
はじめは王太子の婚約者であるアメリが、煤にまみれてガラス作りをすることに皆反対した。
だがアメリがあまりにも楽しそうに作業に没頭するので、やがて誰も何も言わなくなった。
そして、アメリと同じく楽しげに改修工事の手伝いに精を出すようになったのである。
ミハエル老人の工房でガラス作りを手伝いたくて、居ても立ってもいられなくなったからだ。
侍女伝いにカイルに申し出れば、ヴァンを片時も離さず従えるならよいという許可が下りた。
アメリがヴァンを連れて町に姿を現せば、先日の一件のことで辺りは大騒ぎになった。
「アメリ、驚いたよ。あのフィリックス様の正体が王太子で、王太子に扮して悪事を働いていたのがドーソン男爵だったんだってね。そしてあんたは、王太子の婚約者だっていうじゃないかい。普通の町娘みたいな身なりをしているから、全く気づかなかったよ!」
エイダンは矢継ぎ早に言葉を捲し立てると、アメリをきつく抱きしめた。
町の人々も、口々にカイルのことを噂した。
「いやあ、ほんと驚いたなあ。あの王太子が、身分を偽って我々のことを援助してくれていたんだから。悪獅子などと悪口を叩いていたことを、本当に反省したよ」
「アメリさんを助けに行く時のあの方のお姿がすごくかっこ良くて、町の娘たちはすっかりカイル王太子の虜なのよ」
ガラス工房でも、アメリはミハエル老人に盛大に出迎えられる。
「カイル王太子には、いつかお礼を言いたいよ。あの方は、幾度もこの老いぼれに救いの手を差し伸べてくださったのだから」
国民の、この国の王太子に対する印象は百八十度変わっていた。
カイルの本性が皆に知れ渡り、アメリは嬉しくて仕方がなかった。
城からリエーヌに通うようになったその日から、アメリはさっそくミハエル老人のガラス作りの手伝いを再開する。
鋳型に流し込んだガラス液を平らにしたり、染料を調合したり、シルビエ大聖堂のステンドグラスを全て張り替えるまで、仕事は山ほど残っていた。
はじめは王太子の婚約者であるアメリが、煤にまみれてガラス作りをすることに皆反対した。
だがアメリがあまりにも楽しそうに作業に没頭するので、やがて誰も何も言わなくなった。
そして、アメリと同じく楽しげに改修工事の手伝いに精を出すようになったのである。