獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
アメリが城に戻ってから一週間が過ぎた頃のことだった。


アメリが工房でガラス液に染料を流し込んでいると、店の前で通りすがりの若い娘たちと談笑しているヴァンの姿が目に入った。


ヴァンの笑顔は優しく、娘たちは皆頬を染めてもじもじとしている。


その光景にふと胸の奥に蟠りを感じ、アメリは手を止めた。


若い娘たちが去ったあとでアメリはヴァンの近くに寄り、「ねえ、ヴァン」と声を掛けた。






「どうかされましたか？　アメリ様」


「あなたは、さきほどの女の子達のことが好きなの？」


「好きというか、まぁ機会があれば……、ゴホゴホッ」


途中で言葉を濁すように、盛大に咳き込むヴァン。


「なぜそんなことを聞くのですか？　アメリ様」


「あなたがあの女の子達にすごく優しく話しかけていたから、好きなのかしらと思ったの」


「興味がある女性には、男は誰だって優しく接しますよ」


（やっぱり、そういうものよね……）


アメリは、表情を曇らせた。
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