獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
アメリはこの頃、カイルとの関係に悩んでいる。
一週間前、部屋で一線を越えそうになって以降、カイルが一切アメリの近くに寄ろうとしないからだ。
カイルがアメリの部屋に訪れることなど皆無だし、食事にも姿を現さない。城の中を歩いても、まるで避けられているかのように出くわす機会がない。
触れ合うどころか、言葉を交わすことも会うことも全くなく、何か要件がある時は侍女を通じてようやく伝言のみが可能な状態だった。
(カイル様は、私に何か不満がおありなのかしら)
カイルの態度を見る限り、アメリに好意を寄せているとは到底考えにくい。
何か機嫌を損ねるようなことをしたのかしらとか、また嫌われてしまったのかしらとか、アメリは悶々とし続けているのだった。
すると、思案に暮れるアメリの顔を眺めながら、「ははん」とヴァンが自分の顎を擦った。
「カイル殿下のことで、お悩みなのですね。その様子だと、避けられてるってとこですか?」
やはり、この男は勘が良すぎる。
心の内を言い当てられたことにアメリは心苦しくなり、黙って頷いた。
ヴァンは短いため息を吐くと、小声で呟く。
「これだから、女慣れしてないやつは面倒なんだ……」
「何か言った?」
「いいえ」
ヴァンは、取って作ったような笑みを浮かべる。
「それなら、ウィシュタット家に戻りますか? 俺はいつでも大歓迎ですよ。大事に護ってきたアメリ様をあんな目つきの悪い男に奪われたことに、いまだ納得出来ていないので」
ヴァンの言葉に、ドキリとしたアメリは顔を上げた。
「それは……」
「それは、嫌なんですよね? 顔に書いてある」
一週間前、部屋で一線を越えそうになって以降、カイルが一切アメリの近くに寄ろうとしないからだ。
カイルがアメリの部屋に訪れることなど皆無だし、食事にも姿を現さない。城の中を歩いても、まるで避けられているかのように出くわす機会がない。
触れ合うどころか、言葉を交わすことも会うことも全くなく、何か要件がある時は侍女を通じてようやく伝言のみが可能な状態だった。
(カイル様は、私に何か不満がおありなのかしら)
カイルの態度を見る限り、アメリに好意を寄せているとは到底考えにくい。
何か機嫌を損ねるようなことをしたのかしらとか、また嫌われてしまったのかしらとか、アメリは悶々とし続けているのだった。
すると、思案に暮れるアメリの顔を眺めながら、「ははん」とヴァンが自分の顎を擦った。
「カイル殿下のことで、お悩みなのですね。その様子だと、避けられてるってとこですか?」
やはり、この男は勘が良すぎる。
心の内を言い当てられたことにアメリは心苦しくなり、黙って頷いた。
ヴァンは短いため息を吐くと、小声で呟く。
「これだから、女慣れしてないやつは面倒なんだ……」
「何か言った?」
「いいえ」
ヴァンは、取って作ったような笑みを浮かべる。
「それなら、ウィシュタット家に戻りますか? 俺はいつでも大歓迎ですよ。大事に護ってきたアメリ様をあんな目つきの悪い男に奪われたことに、いまだ納得出来ていないので」
ヴァンの言葉に、ドキリとしたアメリは顔を上げた。
「それは……」
「それは、嫌なんですよね? 顔に書いてある」