獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
鉛のように重い体を動かし横を向けば、窓から入り込んだそよ風に揺れる金糸雀色の髪が目に映った。
「カイル様……」
カイルは、寝息一つたてずに眠っていた。整った鼻梁に、薄い唇に、滑らかな肌。彼の顔を形作る全てに、愛おしさが込み上げる。髪が以前より短いせいか、少し大人びた印象を受けた。
色とりどりの光の中で眠るカイルは、美しかった。アメリは指先を伸ばし、柔らかなその髪にそっと触れる。
「カイル様……」
涙が、溢れてやまなかった。
長い闇を歩んでいる間も、ずっとアメリを呼ぶ彼の声を聞いていた気がする。
けれどもどんなに歩いてもカイルのもとには辿り着くことが出来ず、アメリは哀しみにくれていた。
だが、ようやくこうやって、彼の温もりを肌で感じることが出来る。
すると、微かな嗚咽を聞きつけたのか、カイルがぴくりと肩を揺らした。
そして、ゆっくりと目を開ける。
以前よりもずっと知性を秘めた天色の瞳は、カイルを見つめるアメリに気づくなり、みるみる見開かれた。
「カイル様、おはようございます」
アメリが微笑んでも、カイルは凍った表情を崩さない。
まるで出会った頃のように、険しい顔だ。
「カイル様……?」
また、嫌われてしまったのだろうか。
怯んだアメリが声音を下げれば、唐突にきつく掻き抱かれた。
「カイル様……」
カイルは、寝息一つたてずに眠っていた。整った鼻梁に、薄い唇に、滑らかな肌。彼の顔を形作る全てに、愛おしさが込み上げる。髪が以前より短いせいか、少し大人びた印象を受けた。
色とりどりの光の中で眠るカイルは、美しかった。アメリは指先を伸ばし、柔らかなその髪にそっと触れる。
「カイル様……」
涙が、溢れてやまなかった。
長い闇を歩んでいる間も、ずっとアメリを呼ぶ彼の声を聞いていた気がする。
けれどもどんなに歩いてもカイルのもとには辿り着くことが出来ず、アメリは哀しみにくれていた。
だが、ようやくこうやって、彼の温もりを肌で感じることが出来る。
すると、微かな嗚咽を聞きつけたのか、カイルがぴくりと肩を揺らした。
そして、ゆっくりと目を開ける。
以前よりもずっと知性を秘めた天色の瞳は、カイルを見つめるアメリに気づくなり、みるみる見開かれた。
「カイル様、おはようございます」
アメリが微笑んでも、カイルは凍った表情を崩さない。
まるで出会った頃のように、険しい顔だ。
「カイル様……?」
また、嫌われてしまったのだろうか。
怯んだアメリが声音を下げれば、唐突にきつく掻き抱かれた。