獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
カイルは、罰が悪そうにアメリから視線を外す。けれどもアメリは嬉しさのあまり、夢中になってカイルに抱きついた。
「カイル様、ありがとうございます……!」
ヴァンの不幸な境遇を知っているアメリにとって、これほど嬉しいことはなかった。カイルとヴァンは一見して仲が悪いように見えるが、カイルはちゃんと分かってくれていたのだ。
「あれ? 国王陛下、顔が真っ赤……いてっ!」
茶化すようなブランの声が聞こえたが、すぐに悲痛な声に変わった。
カイルが、アメリに分からないようにブランの足を踏みつけたのだ。
「どんなに英雄面してても、相変わらず、性格悪いな」
「ですね」
面白そうにヒソヒソと語り合うヴァンとカールをその場に残し、二人は四頭の白馬が率いる金模様の装飾された豪華な馬車に乗り込んだ。
そしてどこまでも人の列の絶えないリルべの通りを、走り出す――――。
ロイセン王国は、”虹の都”として世界に名高い。
そしてそのロイセン王国を強大にした獅子王とその妻アメリの物語は、末永く人々に愛され続けたのである。
【Fin.】
「カイル様、ありがとうございます……!」
ヴァンの不幸な境遇を知っているアメリにとって、これほど嬉しいことはなかった。カイルとヴァンは一見して仲が悪いように見えるが、カイルはちゃんと分かってくれていたのだ。
「あれ? 国王陛下、顔が真っ赤……いてっ!」
茶化すようなブランの声が聞こえたが、すぐに悲痛な声に変わった。
カイルが、アメリに分からないようにブランの足を踏みつけたのだ。
「どんなに英雄面してても、相変わらず、性格悪いな」
「ですね」
面白そうにヒソヒソと語り合うヴァンとカールをその場に残し、二人は四頭の白馬が率いる金模様の装飾された豪華な馬車に乗り込んだ。
そしてどこまでも人の列の絶えないリルべの通りを、走り出す――――。
ロイセン王国は、”虹の都”として世界に名高い。
そしてそのロイセン王国を強大にした獅子王とその妻アメリの物語は、末永く人々に愛され続けたのである。
【Fin.】