獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
数日後、仕上がったステンドグラスのうちの一枚を取りつける作業が行われた。


シルビエ大聖堂は扉を開けると縦長の礼拝堂が伸びており、拝殿に向けて長椅子が整然と並んでいる。


天井は高く、上部に十二枚の細長いアーチ形のステンドグラスが取り付けられているのだが、何の絵が描かれているのか判別できないほどにどれも老朽化していた。


数人の男たちの協力のもと、そのうちの一枚を取り外し新しいものと取り換える。


生まれ変わったステンドグラスが日の光を受けてキラキラと輝くなり、そこかしこから歓声が上がった。


「なんて、美しいんだ……」




そこには、この国のシンボルである獅子が描かれていた。デザインを考えたのはミハエル老人だが、染料を調合したのはアメリだ。


天色の空を天高く昇る黄金色の獅子は、見る者に自由と平和を連想させた。この国が滅びの危機に瀕していることなど、嘘のように神々しい。


(カイル様にも、見せてあげたい)


その夢が、叶う日は来るのだろうか。


アメリは切ない気持ちになりながら、いつまでもそのステンドグラスに見とれていた。
< 91 / 197 >

この作品をシェア

pagetop