獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
大聖堂を出ると、辺りはすっかり夕方になっていた。茜色の光が、煉瓦造りの通りを染め上げ家路へと急ぐ人々を照らしている。
朱色の夕日が、なだらかな山並みの向こうに沈みかけていくのを眺めながら、アメリとヴァンは宿屋へと急いでいた。
「エイダンさんに頼まれてまして、俺は今夜はエイダンさんの知り合いの店を手伝いに行きます。アメリ様、お一人で大丈夫でしょうか?」
宿屋に着くと、ヴァンが心配そうに言った。ヴァンがいると女性客が増えると評判で、ヴァンはこのところあちこちの酒場から声をかけられているようだ。
「大丈夫よ、ヴァン。エイダンもいるし、心配しないで」
「しかし、変な男に絡まれないかやはり心配だ」
「エイダンの店に、変な男は来ないわ。みんな、エイダンを怖がっているもの。だから、大丈夫よ」
「――分かりました。今日は手伝いを早めに切り上げて、部屋に戻ってくださいね」
「分かったわ」
ヴァンは、アメリのことにかけては心配症だ。不慮の事故で亡くなった妹とアメリを、重ねて見ているのかもしれない。そんなヴァンを安心させるようににっこり微笑むと、アメリは酒場に入って行った。
エイダンの店は、料理がおいしいと評判だ。特にエイダンの作る羊の頬肉のスープは好評で、遠方からはるばる食べに来る旅人もいる。
木造りのテーブル席が五つとカウンター席が数席のこじんまりとした店は、始まって間もないというのに、既に人で溢れていた。今夜はヴァンがいない分、忙しくなるかもしれない。
エイダンは、木製の器に入れた葡萄酒を両手に持って、すでにあくせくと動き回っていた。
「アメリ、遅かったじゃないか」
「今日は随分人が多いのね、エイダン」
エイダンから木製の器を受け取りながら、アメリは店を見渡す。ほぼ満席だ。
朱色の夕日が、なだらかな山並みの向こうに沈みかけていくのを眺めながら、アメリとヴァンは宿屋へと急いでいた。
「エイダンさんに頼まれてまして、俺は今夜はエイダンさんの知り合いの店を手伝いに行きます。アメリ様、お一人で大丈夫でしょうか?」
宿屋に着くと、ヴァンが心配そうに言った。ヴァンがいると女性客が増えると評判で、ヴァンはこのところあちこちの酒場から声をかけられているようだ。
「大丈夫よ、ヴァン。エイダンもいるし、心配しないで」
「しかし、変な男に絡まれないかやはり心配だ」
「エイダンの店に、変な男は来ないわ。みんな、エイダンを怖がっているもの。だから、大丈夫よ」
「――分かりました。今日は手伝いを早めに切り上げて、部屋に戻ってくださいね」
「分かったわ」
ヴァンは、アメリのことにかけては心配症だ。不慮の事故で亡くなった妹とアメリを、重ねて見ているのかもしれない。そんなヴァンを安心させるようににっこり微笑むと、アメリは酒場に入って行った。
エイダンの店は、料理がおいしいと評判だ。特にエイダンの作る羊の頬肉のスープは好評で、遠方からはるばる食べに来る旅人もいる。
木造りのテーブル席が五つとカウンター席が数席のこじんまりとした店は、始まって間もないというのに、既に人で溢れていた。今夜はヴァンがいない分、忙しくなるかもしれない。
エイダンは、木製の器に入れた葡萄酒を両手に持って、すでにあくせくと動き回っていた。
「アメリ、遅かったじゃないか」
「今日は随分人が多いのね、エイダン」
エイダンから木製の器を受け取りながら、アメリは店を見渡す。ほぼ満席だ。