逃げたがり王女~さらわれ囚われたと思ったら溺愛されてました!?~
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震える少女が目の前にいる
 
長い睫毛を涙で濡らし
 
こぼれ落ちそうな瞳は恐怖に揺れて
 
血の気を失っている顔は唇だけ妙に艶やかで
 
ユティーリア…
 
やっとこの腕の中に…
 
なんで、と彼女は聞く
 
いや、と彼女はか弱い力で抵抗する
 
なぜだって?
 
それはお前がユティーリアだからだ
 
他に理由などない
 
細工師によって作られた手足の枷は華奢で、可憐で
 
しかし外れることはない
 
ユティーリア…
 
震えて怯える彼女を押さえつけるのは造作ない
 
それでも
 
彼女の声は、表情は
 
欲望を掻き立て狂わせる
 
細い手首につけられた手枷を
 
そこから伝わる震えの感触を楽しむようにつかみ、寝台に押し付ける
 
恐怖に見開かれた瞳を閉じさせるように手を置き、彼女の視界を遮った
 
頤に手をかけるとびくんと反応する
 
その唇に指を這わせながら

「ユティーリア。お前は今までに俺以外と口づけたことはあるか?」
 
ユティーリアが唇を噛み締める
 
「そうか…」
 
笑みがこぼれる
 
「じゃあ俺が一から教えてやるよ。」
 
細い喉がぴくんと震える
 
「……ぃ…や……っ………」
 
絞り出すような小さな悲鳴は
 
唇から紡がれる声は
 
驚くほど甘く感じる
 
それを無視して彼女のぷっくりとした唇に唇を落とす
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