逃げたがり王女~さらわれ囚われたと思ったら溺愛されてました!?~
最初は啄むようなものから
 
何度も唇を合わせ、呼吸の仕方を教えていく
 
目を塞がれている彼女が、ぎゅっと目を閉じるのがわかった
 
唇の形に合わせてすっと舐めてみると
 
ひくっと喉を鳴らした
 
ひとつひとつに反応する彼女に満足を覚える
 
角度を変えて何度も触れるだけの口づけをする
 
かしゃん、かしゃんとユティーリアが小さく抵抗する音が聞こえたがすぐにやんだ
 
悲鳴も呼吸もすべてを封じ、ひたすらに唇を求める
 
…慣れてきたか
 
力が緩み、抵抗も小さくなってきたタイミングを見計らって徐々に口づけを深めていく
 
唇を舐め上げたことに驚き、少し口を開いたところにすかさず舌を滑り込ませる
 
「っん…!?………んぁ……やっ…!……やぁ……ん……」
 
ユティーリアは……とろけるぐらい甘かった
 
その甘さを、悲鳴を、涙を、すべてを貪りたくなる

逃げ惑う舌を易々と捕らえ、絡め合わせる
 
抵抗しようとあがく手をひとつにまとめ、頭の上で寝台にぬいとめる
 
目を塞いだまま口づけられ、怯えて震えるユティーリアは
 
甘い
 
気づいたら夢中で唇をあわせていた
 
歯列を舐め上げ、舌をすり合わせるだけでは飽きたらず、血がざわざわとざわめく
 
手が彼女の涙で濡れてきた
 
はっとして最後に名残惜しくも唇をはなす
 
はぁはぁと肩で息をするユティーリアに、手加減なしで口づけてしまったことを思い出した 
 
 
目を塞いでいた手をそっと離すとユティーリアが涙に濡れた目を瞼を震わせながらそっと開いた
 

その綺麗な瞳に見とれていると、またじわっと新たな涙がにじむ
 
「…ヴィン……なんで……こんな……っ……」
 
「やっと呼んでくれたな。“ヴィン”って」
 
きゅっと眉根が寄せられてユティーリアが涙をためた瞳でにらんでくる
 
そして小さくつぶやいた
 
「…あなたはもうヴィンじゃない」
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