逃げたがり王女~さらわれ囚われたと思ったら溺愛されてました!?~
ユリィは渾身の力を振り絞ってヴィンセントから手首を引き抜き、突飛ばした
 
「…っ!?…あ、おい!…」
 
そのままころげるように走り出す
 
「…っはぁっはぁっはぁっ……っはぁ……」
 
もう少しで街が見える
 
街にさえ入れれば…
 
背後で舌打ちが聞こえる
 
ヴィンセント!?もうここまで……っあ!!
 
気づけば足が止まっていた
 
街までの一本道
 
目の前を塞いでいるのは、黒い、馬車
 
っ先回りされてたのね……
 
森の中に飛び込もうと方向転換すると…
 
「……っ!……」
 
後ろから布で鼻と口を覆われた
 
つんとしたにおいが鼻をおおい、目の前がぼやけてくる
 
手足から痺れが一気に全身に広がって体に力が入らない
 
頭の中にもやがかかったようになり、意識が遠退く
 
その場に崩れ落ちると
 
背後から抱き止められた
 
「…ぁ…や………いゃ……」
 
意識が闇に沈んでいく
 
必死に手をやり押し返そうとするのに
 
もはやピクリとも動かない
 
いつの間にか横抱きに抱えられてたわたしが最後に見たのは













 
ヴィンセントの微笑みだった
 
 






 
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