レヴィオルストーリー2

「………うん。あ、最後に」


鉄格子から背を離したアレンだったが、歩き出そうとしていた体をまたスパイ達に向けた。



「…母さんの為に金がいるってのは、本当だったのか?」



その質問に二人はしばらくぱちぱち瞬く。


それから、少し悲しそうに笑った。



「さぁね」



その返事を聞くと、アレンは眉を潜め微かに同情の表情を浮かべる。


しかしそれも一瞬で、次の瞬間には無表情に戻っていた。




「…あっそ」





素っ気なく返してギルクと並んで去っていく。



その後ろ姿を、スパイ二人は見えなくなるまで見送った。









「……私達もこの国に生まれたら良かったのに」


「………そうだな」




姉弟の呟きは、薄暗い灰色の空間に吸い込まれ誰にも聞かれることはなかった。







< 679 / 861 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop