レヴィオルストーリー2
「………うん。あ、最後に」
鉄格子から背を離したアレンだったが、歩き出そうとしていた体をまたスパイ達に向けた。
「…母さんの為に金がいるってのは、本当だったのか?」
その質問に二人はしばらくぱちぱち瞬く。
それから、少し悲しそうに笑った。
「さぁね」
その返事を聞くと、アレンは眉を潜め微かに同情の表情を浮かべる。
しかしそれも一瞬で、次の瞬間には無表情に戻っていた。
「…あっそ」
素っ気なく返してギルクと並んで去っていく。
その後ろ姿を、スパイ二人は見えなくなるまで見送った。
「……私達もこの国に生まれたら良かったのに」
「………そうだな」
姉弟の呟きは、薄暗い灰色の空間に吸い込まれ誰にも聞かれることはなかった。