mariage~酒と肴、それから恋~《6》
「大変だったね。言ってくれたら良かったのに…」

言ってくれたら私だって…。


「言おうかなと思ったけど、結希乃ちゃんも忙しそうで疲れてたから、言うと、もっと疲れさせちゃうかな、って」


「…そんなことないよ。聞くくらいしかできないけどさ、仕事の愚痴とか弱音とか、もっと話してよ」

恥ずかしい。

大変だったん凱くんに対して、ほったらかしにされてムカついてたなんて、私って心が狭い。


「結希乃ちゃんだって、仕事の愚痴とか弱音とか言わないじゃん」


「…そうかな?」


「そうだよ、言わないよ。…言ってくれていいのに」


確かにあんまり言わないかもしれないな。


凱くんは困ったようにはにかむ。


私が疲れてるから、私が弱音を吐かないから?

だから凱くんは、弱音が吐けなかった?

…気を遣わせてたのは私か。言わせなかったのは、私だ。

やっぱ、会話って必要なんだ。


「じゃあ、お互いもっと、話しなきゃね」

と凱くんに微笑んで見せる。


そしたら、困ったような神妙な顔をしたまま凱くんは黙った。


―――――沈黙??


私たちの間に、嫌な沈黙が流れる。

私何か変なこと言った?
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