【長完】Keeper.l
先程後ろへと男をぶっ飛ばしたので私の方へは当分かかってこないだろう。良かった、ここが廊下で。

だって横からは迫ってこれるほどのスペースがないから最悪、私たちが背中合わせになって前方と後方を守れば誰も傷つくことは無いはずだから。

「律、要達に連絡してくれ。」

「え?うん、でもここで?」

キョトンとした顔をしている時友。そりゃあ敵に囲まれた状態での電話は大変だろう。

そっと、窓へ向かって指をさす。

『あそこの窓から出て連絡して。戦ってる時に巻き込んだら困るから。時友の分は私が戦う。』

「……、分かった。でもそれなら里香ちゃんが連絡した方がいいんじゃない?俺が戦うから…」

『いや、下の人たちに信頼を置かれている時友が電話してくれた方がいい。私が状況を伝えるよりは簡単に動いてくれるでしょ?』

それに、と言葉を出そうとして飲み込んだ。それに、私が戦った方が効率良く敵を倒すことが出来る気がするから。

人を動かすことは出来る。だってKでも副総長をやっていたから。だけれど、それは信頼関係が成立してからだ。渋々の感じで受け入れられたから正直どう思われているかは分からない。

『行って』

「分かった。」

私の隣で戦っていた時友が十勝側にある窓へと向けて走り出す。それを阻止しようと敵が動き出そうとしたので足払いをかけ、鳩尾を踏みつぶす。

『お兄さん達は、私と遊ぼうか?』
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