Invanity Ring --- 今宵、君にかりそめの指輪をーーー
☆
「まいた、な」
ぜいぜいと二人で息をしながら、狭い路地裏に隠れる。
「す、すみま、せ……」
華月の方は、まだ息が整わない。
俺は、華月の荒い息遣いを聞きながら通りをうかがう。
どうやら追ってきたのは二人だけらしかった。けれど、これであちこちに連絡が行くようならまずいな。
「華月の家の人?」
「はい……私、の、ボディーガード……の、方々、です……」
「いいの? 逃げてきちゃって」
「家の者が、心配、しないように、書き置きを、してきたのですが……」
「書き置き?」
「出掛けます、と。帰りが遅くなっても、心配しないでと書いておきました。口で言ったら、絶対に許してもらえないでしょうし……」
そんな書き置き一つで、心配するなってほうが無理だ。
ようやく息の整ってきた華月は、はー、と大きく息を吐いてその場にしゃがみ込んだ。
「心配をかけるつもりはありませんでした。私は、ただ、幸せなデートがしたかっただけなのに……」
「そっか」
それだけ言って、俺は背中を壁につけたまま座り込んでその場に足を投げ出した。
しっかりしているかと思えば抜けてたり……ホント、あぶなっかしいお嬢様だ。
「まいた、な」
ぜいぜいと二人で息をしながら、狭い路地裏に隠れる。
「す、すみま、せ……」
華月の方は、まだ息が整わない。
俺は、華月の荒い息遣いを聞きながら通りをうかがう。
どうやら追ってきたのは二人だけらしかった。けれど、これであちこちに連絡が行くようならまずいな。
「華月の家の人?」
「はい……私、の、ボディーガード……の、方々、です……」
「いいの? 逃げてきちゃって」
「家の者が、心配、しないように、書き置きを、してきたのですが……」
「書き置き?」
「出掛けます、と。帰りが遅くなっても、心配しないでと書いておきました。口で言ったら、絶対に許してもらえないでしょうし……」
そんな書き置き一つで、心配するなってほうが無理だ。
ようやく息の整ってきた華月は、はー、と大きく息を吐いてその場にしゃがみ込んだ。
「心配をかけるつもりはありませんでした。私は、ただ、幸せなデートがしたかっただけなのに……」
「そっか」
それだけ言って、俺は背中を壁につけたまま座り込んでその場に足を投げ出した。
しっかりしているかと思えば抜けてたり……ホント、あぶなっかしいお嬢様だ。