Invanity Ring --- 今宵、君にかりそめの指輪をーーー
反射的に顔をあげようとした華月は、は、と身体を固くする。
(え……?)
「遅いぞ、バカ息子。絶対に遅れるなと、あれほど言っておいただろうが」
「すみませんね。ちょっと朝まで盛り上がっちゃって」
その声を聞いた華月は、動くことができない。
期待をして、もし違ったら。
その時の自分の落胆は計り知れない。
それでも、胸を焦がす期待が恐れを上回って、華月はそろそろと顔をあげた。
華月の視線の先で、グレーのスーツに身を固めた長身の男性がゆったりと部屋へ入ってくる。その様子を、華月は、唖然としながら見ていた。
青年は、入ってすぐにその場に座すと、姿勢を正して華月たちの方へ向かって頭をさげた。
「申し訳ありません、一之瀬様。昨日は私の友人の結婚式がありまして、いささかはめをはずしすぎてしまいました。この身の不徳でこのような大切な席に遅れましたこと、心よりお詫び申し上げます」
しっかりとした声で告げられた言葉に、は、と一之瀬夫妻は我に返る。
「いえ、それでもこうしてお会いできたのです。どうか、お気になさらずに」
「新婚を朝まで連れまわしたのか、お前は」
呆れたように、岡崎が言った。
「まさか。それはまた別の話」
言葉を補うように、岡崎夫人が頭を下げた。
(え……?)
「遅いぞ、バカ息子。絶対に遅れるなと、あれほど言っておいただろうが」
「すみませんね。ちょっと朝まで盛り上がっちゃって」
その声を聞いた華月は、動くことができない。
期待をして、もし違ったら。
その時の自分の落胆は計り知れない。
それでも、胸を焦がす期待が恐れを上回って、華月はそろそろと顔をあげた。
華月の視線の先で、グレーのスーツに身を固めた長身の男性がゆったりと部屋へ入ってくる。その様子を、華月は、唖然としながら見ていた。
青年は、入ってすぐにその場に座すと、姿勢を正して華月たちの方へ向かって頭をさげた。
「申し訳ありません、一之瀬様。昨日は私の友人の結婚式がありまして、いささかはめをはずしすぎてしまいました。この身の不徳でこのような大切な席に遅れましたこと、心よりお詫び申し上げます」
しっかりとした声で告げられた言葉に、は、と一之瀬夫妻は我に返る。
「いえ、それでもこうしてお会いできたのです。どうか、お気になさらずに」
「新婚を朝まで連れまわしたのか、お前は」
呆れたように、岡崎が言った。
「まさか。それはまた別の話」
言葉を補うように、岡崎夫人が頭を下げた。