Invanity Ring --- 今宵、君にかりそめの指輪をーーー
「一之瀬華月さんだね。初めまして。岡崎圭介です」

 華月は呆然としたまま動けない。
 明るい日の下で見るその笑顔は、ネオンの瞬きの中で見たものとは少し違う。それでも、その笑顔を見間違えることはなかった。

「お前みたいないい加減な男は、遅かれ早かれふられて当然だ。反省しろ」
 ぞんざいな態度で、岡崎が息子を叱責する。

「それはもう、心から。それより、父さん。俺としてもいきなりふられるのは不本意なので、少し彼女と二人だけで話をしたいのですが」
「ふられた腹いせに華月さんをいじめるつもりじゃないだろうな」
「まさか。ちょっと口説くだけですよ」

 にっこりと笑うその男を、華月は黙って見つめるしかなかった。
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