Invanity Ring --- 今宵、君にかりそめの指輪をーーー
 うれし涙を堪えながら、華月は先ほどの圭介の話を思い出していた。
 
 あの話に嘘はないと思ったが、一つだけ、意図的にごまかされたと華月が思った部分がある。
 わざわざそれを指摘したらおそらくまた意地悪されるだろうが、夕べというか今朝はひどい思いをさせられたのだ。少しくらいの意趣返しは許されるだろう。

「圭介さん」
「ん?」
 通話の終わったスマホをしまいながら、圭介が振り向いた。

「やりたいことがないから医師になったんじゃないですよね。圭介さんは、本当に医師になりたかったんじゃないですか?」
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