最後の男(ひと)
「な……っ!?」

「今のもじゅうぶん可愛いから問題なし。それと、俺、上下揃ってなくても気にしない派だから。寧ろ無防備な感じで燃える」

「でもっ!」

「一香の願いは却下。このまま大人しく俺に抱かれろ。それとも、もう一段照明上げるか?」

「……くっ!」

もう一段上げれば、ナイトライトとはいえこの加減だと普通の電気と変わらない明るさになるだろう。
悔し紛れに喉を奥を鳴らせば、先輩は勝ち誇ったように微笑む。

「酒が強くて男勝りなのに、変なところで乙女なんだな」

「こんな可愛げがない女でいいんですか」

「どこがだよ。可愛いさ有り余ってんだろ」

先輩は、そう言ってふっと笑うと、ゆっくりと顔を近付けてくる。

「仕切り直しだ。……好きだよ、一香」

耳元を擽る先輩の掠れた声で、また一気に甘いムードが漂い始める。
ここまで来たらいい加減腹を括ろうと、恥ずかしさを乗り越えて先輩の首筋に腕を回す。

「あ、今のうちに苦手な体位があったら言っておけよ」

先輩は私の首筋に唇を寄せながら言うから、吐息が擽ったい。

「……それは、角度とか色々、相手が変われば違ってくるものなんじゃないですか」

「ほーう。俺の気遣いを、恋多き一香さんは言うことが違いますねぇ」

真面目に聞かれたから答えただけなのに、なぜか怒られてしまう。

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