暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】



リリアン・シェパードに関しては、アニを庇った行動からもしかしたら何か起こると初めから知っていた可能性があるが、



勇気と行動力に免じて命は取らない。


「解雇なさらないのですね……?」


「アニはあのメイドを気に入っていたように見えたのでな。そのままにする事にしたのだ」


我ながら珍しく罰も何も与えない。


「起きて突如周りが変わっていたら戸惑うだろう。そのままの方が起きたとき安心できる」


起きるまではなるべく変えないほうがよさそうだ。


「………なんだ?」


ファンが何やら余を気持ちの悪いニヤニヤとした目で見ていた事が気に食わない。


「いや、まさかお前にそんな心があるとは驚いたよ。心が凍った冷血陛下だと思っていたものでな。やはり妻は人を変えるようだ(笑)」


「何が言いたい…………」


「これ以上話したらお前から切られてしまいそうなので、止めておこう(笑)」


実に気に食わない…。



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