暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
赤のカーネーションと白い雛菊のドライフラワーを小瓶に入れてもらい手持ちのお金で払うと、横掛けにしていたカバンの中に入れた。
長居しすぎたのか時は既に12時を回っており、お腹の虫も騒ぎ始めた。
「近くにいい店あるからそこに行くか!」
「うん!」
近くにあるという飲食店へ向かう。
昼時の商店街は朝とは比べようのないぐらい交通量が多く、人だけでなく馬車もよく見かける。
「あ、ちょっと待って」
人混みに流されそうになりながらも、必死にグラントを探す。
手を伸ばせば届く範囲の距離なのに、そこに人が割り込み邪魔をする。
グラントは私が離れていることにまだ気づいていない。