ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
 両手一杯に紙袋を持って、広海君の部屋までやって来た。

途中でケーキセットまで奢らされて。

いい荷物持ちだね。

「ねえ先生、一緒にピザ食べない?」

玄関ドアを開けた所で、郵便受けから引き抜いたチラシを広海君が目の前に掲げてきた。

「ピザ?」

チラシには色鮮やかなおいしそうなピザがズラリと並んでる。

「これは私がおごるから。今日のお礼。ね」

言うが早いか僕を引っ張り入れて、後ろで閉まったドアにガチャンと鍵を掛ける広海君。

ん?

(まさか、誘う気じゃないよな?)

普通の女性なら嬉しいトコロだけど。

(なにせ広海君だしなぁ)

教え子だなんて関係ない、なんて言われる前に、性格の合う合わないがある。

(…でもスタイルはいいんだよなあ)

抱きつきたくなるような腰付きにちょっと期待しちゃうのが悲しいトコロ。

「センセー、ここ座ってて」

先に部屋に入った広海君が指した先に、ベッドを背にして丸いブルーのクッションが置いてあった。

カーテンもブルーでベッドカバーもブルー。

ローテーブルとチェストはこげ茶で、黒い本棚には少年コミックが並んでる。

(男っぽい部屋だな)

辛うじて、チェストの上に並べられた化粧品やらぬいぐるみやらプリクラがベタベタ貼られたミラーやらが女の子らしさを演出してる。

「じゃあ好きなの注文しててー。私おフロ入ってくるからー」
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