次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい


「興味があるならいろいろ教えてあげよう。知識として覚えておいて無駄にはならぬ」


オルキスは「そう言えば」と前置きし、草花を籠に戻し手を払っているボンダナへと、たった今思い出した疑問を投げかけた。


「オーブリーがお前の弟子だったという話を聞いたのだが、本当か?」

「……オーブリー。確かに一時期な。でも追い出した。あやつとは物事の捉え方があわない」

「そうか」


ボンダナもオルキスも、そしてオーブリーのことを思い返してしまったリリアも一様に視線を伏せたため、場に重い空気が立ち込めたが、それを一掃するように「おぉ、そうだ!」とボンダナが手をポンと打ち、にやりと笑った。


「今は優秀な弟子が一人おる。ちょうどオルキスと同い年だったかな。とっても良い男だ。リリアも私の弟子になり、兄弟子からもたくさん学ぶと良い」

「断る」


即座に断ったのは、リリアではなくむっと顔をしかめたオルキスだった。


「オルキス、お前は誘っておらん。リリアの方だ」

「だから断ると言っている。お前ももう年だ。弟子をふたりも取ったら大変だろう。ひとりでじゅうぶんだ。無理するな」



< 180 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop