次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい
「興味があるならいろいろ教えてあげよう。知識として覚えておいて無駄にはならぬ」
オルキスは「そう言えば」と前置きし、草花を籠に戻し手を払っているボンダナへと、たった今思い出した疑問を投げかけた。
「オーブリーがお前の弟子だったという話を聞いたのだが、本当か?」
「……オーブリー。確かに一時期な。でも追い出した。あやつとは物事の捉え方があわない」
「そうか」
ボンダナもオルキスも、そしてオーブリーのことを思い返してしまったリリアも一様に視線を伏せたため、場に重い空気が立ち込めたが、それを一掃するように「おぉ、そうだ!」とボンダナが手をポンと打ち、にやりと笑った。
「今は優秀な弟子が一人おる。ちょうどオルキスと同い年だったかな。とっても良い男だ。リリアも私の弟子になり、兄弟子からもたくさん学ぶと良い」
「断る」
即座に断ったのは、リリアではなくむっと顔をしかめたオルキスだった。
「オルキス、お前は誘っておらん。リリアの方だ」
「だから断ると言っている。お前ももう年だ。弟子をふたりも取ったら大変だろう。ひとりでじゅうぶんだ。無理するな」