惚れ薬
あたしはキュッと唇を引き結んだ。


あたしだって信じているわけじゃない。


でも、万が一ということだってあるかもしれない。


だから諦めきれないのだ。


そう思っていると、初美が小瓶を手に取った。


「ごめん、笑い過ぎた。可能性はゼロじゃないってことだよね?」


そう聞かれてあたしは頷いた。


「そっか。惚れ薬だって言われてもらってきたんだもんね」


真弥がそう言い、小瓶をマジマジと見つめる。
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