惚れ薬
「1年前から好きな人がいるのね?」


「どうしてわかるんですか?」


まさにその通りだった。


松山高校に入学して、すぐに好きになったのがクラスメートの広松航(ヒロマツ ワタル)だった。


運がいい事に2年生に上がってからもクラスが同じだったけれど、今のところ付き合うまでには進展していない。


「残念だけど、その人とあなたの相性はあまりよくないみたいね」


女性にそう言われた瞬間、自分の胸にチクリと刺さるものがあった。


実はそれも薄々気が付いていた事だった。


航の好みのタイプとあたしは、かけ離れているから。
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