惚れ薬
「でも、頑張ったら振り向いてくれないでしょうか?」


あたしは恐る恐るそう質問をした。


「ちょっと難しいと思うわよ」


女性はそう言い、トランプを手に取った。


なにかブツブツ唱えながらテーブルの上にトランプを並べて行く。


「このトランプではあなたと彼が付き合う事はないって出ているわ。諦めた方がいいかもしれない」


女性の言葉にあたしは驚いた。


占いでここまでハッキリ言われるとは思っていなかった。


中途半端に期待をさせて、妙なものを売りつけてくるとばかり思っていた。


「あたしはペテン師じゃないのよ」


女性があたしを見て笑いながらそう言った。
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