監禁少女
「千恵美はあの日自力で掃除道具入れから出ようとしたんだ」


千恵美のお父さんがあたしを見おろしてそう言った。


体育館裏にある掃除道具入れは、体育館やグラウンドの清掃具が置いてあるためとても広かった。


部屋の中には小窓がついていて、光も差し込むようになっている。


「バケツを逆さまにしてその上に乗って、窓から出ようとした」


あたしは掃除道具入れにあった青いバケツを思い出していた。


通常のバケツよりも一回り大きなサイズだ。


でも、千恵美の身長を考えると窓には手が届かなかっただろう。


「外の気温はどんどん下がって行く。暖をとれるものはなにもない。千恵美は必死だった」


お父さんの言葉にあたしは顔を上げる事ができなかった。
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