あしたの星を待っている


離れの入り口を開けて、中に向かって鞄を放り投げた先輩は母屋の方へと歩いて行った。

言われたように先に入ると、檜の匂いが微かにする。

建物の作りそのものは洋風でそれほど古い感じもしないのに、どことなく辛気臭い。それは、母屋の影で日当たりが悪いせいか、それとも殺風景で生活感がないからか。

しん、とした音のない家。

先輩は、こんな家でひとり生活しているんだ。

さっき後妻とか義妹って言っていたけど、なかなか複雑そうな家庭なんだな。


「花菜? どうした?」


入り口のところでグズグズしていると、母屋から先輩が戻ってきた。

遠慮しなくていいのに、と優しく笑う。


「そこのドアを開けて、奥の部屋」


ジュースとケーキを乗せたお盆を持っている先輩は、目線で”そこ”と合図した。

ドアに取っ手がないので少し戸惑っていると、真後ろから「横に引くんだよ」と、教えられる。背後にぴったりくっついた先輩のクスリと笑い声が耳元で聞こえた。

この部屋に連れ込まれた女の子は、今までに何人くらいいるのだろう。

ふと、そんなことを思う。

ここで押し倒されて、ビデオを撮られて、脅されて……?


「花菜、こっちきて」

「っや、」

「花菜?」

「あっ、あの、ジュース貰ってもいいですか? 喉乾いちゃって」





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