毒舌社長は甘い秘密を隠す

「沢村さん、九条さんとランチに行きたかったの?」
「機会があれば、ご一緒してみたいとは思いますよ。でも、社長がいないと成り立たないじゃないですか」
「それもそうね。まぁ、社長が冷たいのは今に始まったことじゃないんだし、時々気まぐれで優しくしてくれるだけ良しとしないと」
「……そうなんですかね」

 腑に落ちないけれど、これ以上はなにも話せなくて話題を変えた。


「留美さんは、八神さんとはその後進展なしですか?」
「あるはずないでしょ。一気に失恋コースだよ」
「えっ、告白したんですか?」

 驚いて、パスタを絡めていたフォークを持つ手が止まる。
 片想いを聞かされたばかりなのに、まさかもう告白していたなんて。


「だといいんだけど、現実はそれすら叶わず。八神さん、彼女がいて婚約してるんだって。私の出る幕なし」
「……今度、時間のある時に飲みに行きましょう」
「慰めてくれるの? 本当、いい後輩を持てて幸せ」

 失恋した割に、ケロッとしている留美さんはきっと強い人だ。
 私だったら顔に出るだろうし、仕事にも影響するだろう。相手が社長なのだからなおさらだ。

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