毒舌社長は甘い秘密を隠す
一時間で自席に戻って、会議の様子をうかがう。
社長から会議終わりにデータが見たいとメールが入っていて、早速取り掛かった。
都内の大型商業ビルの入居率と売上データなら、この前作ってある。それに、九条さんからもらってきたばかりの資料の内容を追加し、五年刻みで今後の予測値を出せばできそうだ。
三十分後、予定通り会議から社長が戻ってきた。
専務と話しながら社長室に入っていったので、声をかけずに様子を見る。
だけど、すぐに内線が鳴ったので、私は作った資料が入っているタブレットを手に席を立った。
「失礼いたします」
三回ノックをしてからドアを開けると、専務と応接セットの黒革張りのソファに向かい合って座っている社長と目が合った。
「データは?」
「お持ちしました」
どうやら専務と話すのに必要だったらしい。
あとは説明しなくとも、数字があれば社長が話してくれる。だけど、追加の指示があれば対応するために傍らに立った。