毒舌社長は甘い秘密を隠す

「――ですので、今回の商業ビルは勝算があります」
「なるほど。社長が九条側に交渉してくださっているなら心強い」
「通せる要望は通してみせます。彼とは友人ですが、これはビジネスですから」

 五分ほど話し込んで、専務は納得してくれたようだ。
 社長も、仕事となると仲のいい九条さん相手でも譲らない。
 若くして起業し、社員を増やして業界でも注目され続けるだけの求心力は、彼だからこそなんだろう。


 専務が出て行って、社長とふたりきりになった。
 仕事中の真剣な顔つきは、とても凛々しくて素敵。世の中の動きを冷静に見つめるような瞳も、彼にはよく似合う。

 だけど、私は彼の微笑みが好きだ。
 優しいまなざしも、楽しそうな笑い声も。

 どうしたら見れるんだろう。
 私に微笑みかけてくれるのは、どんなときですか?

 この場で少し待機するように言われて、デスクの横で佇む間、心の中で問いかける。

< 103 / 349 >

この作品をシェア

pagetop