毒舌社長は甘い秘密を隠す

「条件がある」
「はい……」
「今夜から俺の自宅で暮らせ。この条件が飲めるなら秘書に置いてやる。返事は今日の十八時まで。話は以上だ、戻れ」

 一方的な流れに唖然としつつ、彼が取引先に電話をかけて話し出してしまったので、私は自席に戻ることにした。


 社長、怒ってたんじゃないの?
 私が噛みついて、この話はなかったことになったはずでは……?

 仕事のことならそれなりに理解できるのに、恋愛が絡むと途端に頭の中が混乱する。

 二年前だってそうだった。
 憧れていた社長が、営業部にいた私を秘書に抜擢したのだから。
 なにがどうなって秘書室に異動させられたのか、それは今でもわからない。

 というか、社長には秘密が多い気がする。
 アルパくんのことだってそうだったし、社名の隠れされた意味も、私を秘書に置いていることも。他には……。


「――Fluffy ALPA 秘書室の沢村でございます」

 机上の電話が鳴って応答する。

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