毒舌社長は甘い秘密を隠す
――今、キス、された……よね?
ほんの一瞬の出来事に感じたのに、距離をなくして迫ってきた彼の表情も、キスの感触も残っている。
「社長、今のは、どうして……」
狼狽える私の問いかけに、まっすぐ正面を見てハンドルを握る彼はどんな答えを返してくれるんだろう。
キスをする必要があったとは思えないし、九条さんからあんなことを聞かされた後では、動揺せずにいられない。
「今夜から一緒に暮らすんだ。キスくらいで動揺するな」
「えっ、どういう意味ですか!?」
「黙れ。気が散る」
運転に集中したいのか、口を開くことを禁じられた。
だけど、あくまでも社長と秘書の立場があるのに、キスをされたらその真意が知りたくなる。
「社長?」
流し目で私を見た彼に、一撃で射抜かれた。
「……君は、俺の秘書だからな。それが分かっているのか確かめただけだ」
頬を火照らせた私を見ながら、彼はあまりにも身勝手な理由を返してきた。