毒舌社長は甘い秘密を隠す

 置かれたままの黒いスーツケースの傍らに、大小様々な袋が並んでいる。
 ブランドものとひと目でわかるものから、セレクトショップの名入りでお洒落なものもあった。

 その中から、彼はシルバーグレーの大きな袋を取って、私に差し出した。


「これは、君のために買ってきた」
「ありがとうございます!」

 そんなことを言われたら、無条件にきゅんとする。
 滞在先で、一瞬でも私のことを考えていてくれたのだと知って、ますます彼のことが好きになりそうだ。


「開けてみろ」
「はい」

 持ち手に結んである真っ白なリボンを解き、厚みのある黒い箱を取り出す。
 いったいなにが入っているか分からないけど、大きさの割には軽く感じた。

 丁寧に包みを開けていく私を、社長はとても穏やかに見つめている。
 さっきまであんなに冷たかったのに、別人のようだ。

 社長からのプレゼントなんて、本当に嬉しいなぁ。どんなものでも大切にします!


「どうだ、いいだろ?」

 手に取った私より先に、彼のテンションが上がっている。
 なぜなら、彼が買ってきてくれたのは、私サイズの〝もふもふしたルームウェア〟だったのだ。

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